馬との触れ合いから幼稚園運営まで。発展を遂げる社会教育NPOが迎える転換期。

認定NPO法人ハーモニィカレッジ
理事長 大堀 貴士 氏

2023.03.03

RAJC Report 編集部

鳥取市街地を望む空山に拠点を構える認定NPO法人ハーモニィカレッジ。馬との触れ合いを通した事業を展開し、認定子ども園やフリースクールの運営、馬を通した体験、合宿など、主に子どもたちの居場所や成長の場を提供する社会教育活動を行っている。馬との関係づくりの過程で子どもたちは、相手への理解や自身の振るまい方など多くを学ぶ。そうした取組への賛同が輪を広げ、また理事長の大堀貴士氏をはじめとするスタッフの人柄を慕って、県内外から多くの利用者が集う。

本記事では、創立から25周年を数え、事業も従業員数も大きく成長したハーモニィカレッジの組織づくり、情報発信改善への取組を紹介する。

企業データ

認定NPO法人ハーモニィカレッジ

ポニーや青年ボランティアの力を借りて、“主体的に生きるチカラ”を育むのを目的に乗馬体験や自然体験活動を行う。

住所:鳥取県鳥取市越路大谷752-1
電話:0858-72-2468

スタッフの増加と25年の歳月が生んだ変化に組織化と中堅リーダー育成で対応

2016年、ハーモニィカレッジは鳥取県のとっとり森・里山等自然保育認証制度に基づいて森のようちえん「空山ぼくじょうようちえん ぱっか」を開園した。その後、継続的な事業展開と安定的な保育を目指して認定子ども園へ。保育事業のために新たな人員が雇用された結果、創業時の4人から少しずつ増えていたスタッフは19人に急増した。

大堀氏:従来は、私一人とスタッフのみなさんという構造でした。ですが人数や事業が増え、私一人ではカバーしきれなくなりました。組織化するとその力を生かした活動ができるので、中堅リーダーの重要性を感じるようになりました。

中堅リーダーが求められた背景にはもう1点、25年という時の流れがあった。大堀氏の前任者、創業者である初代理事長に直接触れていないスタッフに、その理念を効果的に伝える手法が必要だった。

大堀氏:私一人対全員では伝わりきらない。私よりも現場スタッフと世代が近い中間層が、自分の言葉のように伝えた方が次世代に浸透します。リーダーが4人いれば4倍に伝わるのです。

受講者が内容をスタッフに講義 進む理事長の業務移譲

RAJCの「中堅リーダー育成講座」「管理者育成講座」を受講したスタッフは、持ち帰った研修の内容を自らが講師となって他のスタッフに還元する。

大堀氏:学んで帰った時のスタッフの表情が、研修前とまるで違うんです。彼らのレポートを聞いたスタッフも感化され、組織の変化に繋がっていると感じます。

10以上ある事業もリーダー層が計画・予算化し、互いに協議する。大堀氏が一人で担ってきた業務がリーダーたちに移譲され、理事長として組織運営に集中できる時間が増えている。

多彩な事業の情報を必要とする人に届けるマーケティング講座で新たな視点

スタッフが増え、さまざまな事業展開が可能になった一方で、その情報を必要とする人に届かなくては事業は成り立たない。

大堀氏:ここに来た人は「元気が出た」「学びになった」と喜んでくださいますが、「もっと早く知りたかった」「子どもが小さい時に来たかった」などの声もありました。自分たちを必要とする人に情報が行き渡っていないと感じつつ、何をすれば良いのかわからずにいました。

RAJCの講座を受講したスタッフからは、大きな気付きがあったと報告された。

大堀氏:これまで自分たちの魅力発信ばかり考えていましたが、相手がどんな情報を求めて何を検索したかが重要だと。検索する人の要望、問題をホームページで解決する視点は新鮮でした。

受講内容はスタッフにも共有し、SNS活用も含めて広報の改革に取り組んでいる。

馬、人、自然との出合いを自己肯定へ。生きづらさの社会課題へ向けた事業を展開

ハーモニィカレッジで馬を通して人と話せるようになったり、出合った人を通して馬や自然が好きになるなど、ここは馬と人、自然の繋ぎ役を担ってきた。スタッフが魅力的になるほど、繋ぐ力、活動の広がり方がより強くなると大堀氏は感じるという。

大堀氏:社会の中で生きづらさを抱える子どもや若者にここに出合ってもらって、「自分は自分のままでいいんだ」と感じ、自分らしさを出すことをもう一度取り戻してもらうような、そういう社会課題に対して事業を展開していきたいと思います。

新たなスタッフも、理念をしっかりと発信し、思いを共感できる仲間を募っていく。


SEMINAR

セミナー紹介

■認定NPO法人ハーモニィカレッジの場合

管理者育成講座を受講。組織の変革におけるリーダーシップの重要性の理解を図る

管理者育成講座

事業者が抱える喫緊の共通課題である良質で安定した正規雇用の創出や着実な職場定着を目指すために必要とされる階層別人材育成に視点を置き、その中でもより急務となっている管理者を育成することを目的とする。

管理者に求められる「業績向上」「部下育成」「組織力強化」3つの役割を中心に具体的な手法を学びます。

対象者:
自動車関連、情報関連、観光、食、医療・ヘルスケア分野などの事業者の新任管理職・管理職候補者


VOICE

働く人の声

講座で学んだ「聴き方」を生かし、アットホームな職場を目指したい

事業部長 阪本 宜之さん

大学のサークル活動で当法人のボランティアをしていました。みんなで企画したキャンプで子どもたちが感動するのを目の当たりにして、当法人での就職を希望しました。
リーダーの必要性は私も感じ、自分もリーダーシップを取れるようになりたいと思っていました。コミュニケーションは重視して伝え方を意識してきましたが、講座の聴き方の話は目から鱗でした。
いまは事業部長として、事業計画・予算づくりと執行、各事業責任者の取りまとめを担っています。チームワークが大切なので、互いに本心を聴き合ってアットホームな職場を目指し、子どもに見られても恥ずかしくない大人のコミュニケ−ションをできるようになりたいです。

RAJC(鳥取県地域活性化雇用創造プロジェクト推進協議会)の
支援事業やセミナー開催情報については、RAJCウェブサイトをご覧ください。

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