山陰松島遊覧株式会社
代表取締役 川口 博樹 氏

山陰松島遊覧船は、「山陰の松島」とも謳われる景勝地、山陰海岸国立公園を巡る遊覧船を運航している。陸上からは見えない断崖、奇岩の絶景や、水深25mの水底を見通す透明な海を間近に体験でき、国内はもちろん、海外の観光客も大勢訪れる。
本記事では、精力的に社内改革に取り組む山陰松島遊覧が続けて実施したICT導入と、新たな観光句汚点としての機能と魅力を増強する取り組みを、社長の川口 博樹氏の話とともに紹介する。
目次
専門家のハンズオン支援で、業務に最適なシステムを構築
就業規則改定、「コト商品」、オリジナル商品の開発ミーティングなどで職員と顧客満足の向上に努める山陰松島遊覧。
社員の結束を強めつつ、ICT導入、オリジナル商品の追求と、さらなる挑戦を続けている。 RAJCは、POSレジ導入、乗船予約システム構築にあたり、専門家を派遣。社長、社員らと意見を交わし、ニーズや使い勝手を確認しながらハンズオン支援でシステムを立ち上げた。

POSレジ、予約システム導入。事業のICT化で売り上げ・効率アップ!
食堂や土産物販売店において、レジはただ金銭の授受をするだけの場だった。これでは、いつ何がどれだけ売れたかわからず、売り上げ対策を立てにくい。キャッシュレス決済を求める客も増え、転換期に来ているとICT導入に踏み切った。 導入したのは、食堂と売店のPOSレジと、遊覧船運航の予約システムだ。
川口氏:POSレジは金額を手入力しないので、計算ミスなどヒューマンエラーがなくレジ締めが簡単。売り上げのデータも取れるようになりました。
商品の売れ行き傾向がわかるようになったので、今後これらのデータを、客のニーズにあった土産物の販売にいかせると思っています。
POSの集積データがあれば、経験のない新人もデータに基づいて商品の仕入れ業務ができる。
また、また、船長が船上で案内した商品がどの程度売り上げに繋がっているかをPOSで集計し、販売に大きく貢献した船長を表彰する制度を開始。船長のモチベーションアップと、売り上げ上昇における成果が見られる。

オリジナル商品開発とカフェスペース設置で客単価向上を狙う
かねてより山陰松島遊覧は、コト商品やオリジナルの土産品開発など、「ここだけ」の魅力創造に力を入れてきた。
2019年、新たな目玉商品が誕生。美しい岩美の海の色を写し取ったような「イワミ ・ジオ・ブルー・チーズケーキ」と「イワミ・ブルー・サイダー」を発売した。
船長らが中心となって企画・開発を手がけ、色や味、ボトルのデザインまですべてにこだわった。商品は好評を博し、夏休み中1000本以上を売り上げる大人気商品になった。 店内には新たにカフェスペースを設け、それらのスイーツを楽しんだり、船の待ち時間にちょっとした飲食を楽しむ空間に利用されている。
川口氏:客単価がいままで高くなかったので、待ち時間などにお客さまに少しでもお金をつかっていただこうと飲食スペースを新設しました。それにあわせてカフェメニューを充実させ、食べ物、飲み物を増やしています。
梨やイチゴなど、地元特産品を使った季節限定メニューも人気です。
天候によっては、突然の欠航もあり得るのが自然を相手とする宿命。乗船できなかった客も、カフェや買い物などで楽しんでもらえば再度足を運んでくれると、願いをこめている。

着地型観光へ向けて旅行業登録。周辺観光地との連携し、岩美全体の観光振興をめざす
山陰松島遊覧は2019年、従業員が旅行業務取扱管理者の資格を取得し、旅行業登録を行った。地域限定の旅行の企画と実施が可能になった。
川口氏:岩美町に来て遊覧船だけ乗って帰るというお客さまも多いようです。ですが、それでは岩美町を観光したことにはなりません。
私たちは遊覧船だけでなく岩井温泉や浦富海岸の民宿、さまざまな海での体験を組み合わせて、岩美町らしい着地型観光ができるようにしていきたいと思います。
岩美町は、温泉や陶芸、歴史など多くの観光資源を有している。それらを結びつけ、各所と連携して、地域全体の観光活性化をはかる。
浦富海岸を紹介する遊覧船の会社から、岩美町の着地型観光拠点へ。山陰松島遊覧は成長を続ける。

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