職員満足度を上げて、地域密着の福祉施設を守る

社会福祉法人 愛恵会
理事長 徳田 恵美子 氏

2018.12.01

RAJC Report 編集部

愛恵会は2006年設立。三朝町中心地の一角で小規模多機能型居宅介護施設とグループホーム「なの花」を運営し、現在地元の30人ほどが利用している。約30人のスタッフが、24時間年中無休でサービスに尽くしている。

本記事では、厳しい経営を迫られる小規模多機能型居宅介護施設が、利用者の満足とスタッフの働きやすさを両立させるための取り組み着いて、理事長の徳田 恵美子氏の話を交えて紹介する。

企業データ

社会福祉法人 愛恵会

地域密着の小規模多機能型居宅施設とグループホームを運営。要望に応じ、随時訪問・宿泊に対応する。

住所:鳥取県東伯郡三朝町大瀬1012
電話:0858-43-1711

岐路に立つ小規模施設経営。職員満足向上が安定運営の鍵

近年の介護報酬制度改定等に伴い、小規模施設は非常に経営が難しくなっている。持続的、安定的な施設運営を行うために、スタッフが気持ちよく働ける職場づくりへとさまざまな見直しが必要となった。

徳田氏:制度改正により報酬加算のしかたが変わって、私たちのような小さな施設は非常に厳しい経営を迫られる状況となりました。
そのなかで利用者の満足を維持するには、まず職員が元気にならねばと考えたのです。

RAJCが派遣した専門家は、スキルアップの仕組みづくりと休暇など労働環境の見直しを提案した。

業務の到達度を自己チェックする「評価の見える化」。いつでも動画マニュアルを見てスキルアップ

スキルアップのために、まずスキルマップを作成した。業務を5つの項目に分け、それぞれに必要な作業と求められるスキルを各20ずつリストアップしたシートを用意。スタッフは、できていることといないことの現状評価と、次への課題が見えやすくなる。
足りないスキルは、新たに制作したマニュアル動画で学べる。利用者のケアに関わる作業の手本となる動画を作成し、クラウドにアップロード。すべてのスタッフが動画を模範としてサービスの内容や手順を統一でき、いつでも誰でも同じ介助・介護を提供できる体制をつくり、利用者の安心に繋げる。

徳田氏:職員が満足できるためには、「評価の見える化」が必要だと思いました。スキルマップと動画の活用でスキル向上が自分にも上司にもわかりすく見え、本人のモチベーションにつながったらと思います。

これまで人事考課は、自己評価のウェートが高かった。自己評価と比べて上司の評価の方が低い場合、上司がなぜそのような判断をしたのか腑に落ちにくく、時にしこりが残る。

スキルマップは現状が客観的指標として表れ、両者が納得できる評価に繋がりやすい。スキル向上の結果も数字で見えるためモチベーション向上が期待される。待遇面にも反映される見通しだ。

コミュニケーション強化と情報の共有により、楽しい職場と休暇制度充実・残業ゼロを目指す

なかなか勤務時間内に帰れない、休暇が取りにくいという状況は、業界的な宿命ともいわれる。愛恵会では定時帰宅と休暇取得をしやすい職場を創出し、離職防止と雇用の獲得に繋げようとしている。
利用者・スタッフともそれぞれ約30名という規模の小ささを活かし、全スタッフがコミュニケーションを密にして、細かな情報まで共有。互いに仕事を補い合って能率を上げ、勤務時間内に業務を終えられるよう、職場一丸となって努力する。

徳田氏:育児休暇、介護休暇を充実して、休みや有休を取りやすい状況を生み出したいですね。日々の退社についても、残業をゼロを掲げることで、時間になったらみんなで帰るという環境を作って、働きやすくしていきたい。
今回の取り組みで職員が前向き・自主的になって利用者のサービス向上に結びつき、職員・利用者双方の満足度が上がることが目標です。

既に、若い男性スタッフが1カ月の育児休暇を取得した。誕生直前の連絡があったときも、職員みんなが背を押して退勤させ、出産に立ち会えたという。
男性は「かけがえのない時間に一緒にいられてよかった」とうれしそうに話す。

小さくこぢんまりと、一人一人を大切に。「なの花」流介護を貫く

介護を純粋なビジネスととらえると、加算点数の高いサービスをどんどん利用してもらうのが効率が良い。だがそのために専門人材などを備えれば、ともすると赤字の要因となる。必要以上のサービスを勧めれば、利用者の負担増にもなる。

職場内の工夫によって利用者と職員双方の満足を見出しながら経営を維持する愛恵会の取り組みは、一つのモデルケースといえる。

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