鳥取介護サービス
代表取締役 谷口 功 氏

鳥取介護サービスは、高齢者と障がい者を対象に在宅介護サービスを提供する企業だ。鳥取市を中心にヘルパーが利用者の自宅を1軒1軒訪問し、24時間365日体制でサポート。また、障がい者のケアプラン作成事業も行っている。
本記事では、離職防止と人材獲得を目的とした、従業員のストレス軽減と魅力的な職場づくりへの取り組みを代表取締役社長の谷口功氏の話を交えながら紹介する。
目次
離職者の増加を機に、社内改革を推進
鳥取介護サービスは、約260の訪問先を1軒あたり5〜6人が担当して回っている。多いときには50人ほどのスタッフがいたが、数年で10人ほど減り、体制としては限界に。新規顧客を受け入れるゆとりはなく、離職防止、人材獲得が喫緊の課題だった。
谷口氏:目の前の人手不足も問題ですし、将来はさらに、人材獲得競争が激しくなります。人手不足の時代を勝ち残るために、運営方針を変えなくてはと思いました。
改革は、RAJCのセミナーを参考に働き方改革、人づくり改革、生産性向上の3本柱を打ち立て、さらにICTの専門家派遣を依頼し、効率向上などに取り組んだ。

無記名のアンケート調査を実施。従業員の満足度を高める離職防止大改革!
スタッフの本音を聞きたくても、ネガティブな意見はなかなか面と向かって言いづらい。そこで無記名の自由記述アンケート調査を実施し、心の奥にためているストレスを文章化して提出する形をとった。アンケートは単発に終わらず、いつでも投書できる箱を設置して意見や不満を募り続けている。
加えて月1回程度、離職防止委員会を開催。可能なスタッフが全員出席し、社長進行のもと、現状の問題点や疑問点を出し合って解決する。
谷口氏:さまざまな意見がたくさん出ました。退職金制度への要望や、休日出勤を減らしてほしいとか。
できることはしますし、できないことは理由を回答したり、解決策をみんなで考えます。
この取り組みで、退職金制度導入や、長時間勤務防止などの取り組みが行われた。コミュニケーションが増えて風通しのいい風土が育ち、離職率が下がり始めた。

経験ゼロの新入社員を丁寧に育成! 介護人材育成プログラムでスキルアップ!
鳥取介護サービスは、自社に研修設備を整えている。社屋の2階には座学用の研修室、ベッドやトイレ、キッチンなどを完備。社内の「教育事業部」が実施する「介護職員初任者研修」で、未経験者もしっかり技術を学べる。
月に1度は全員参加の技術研修を開催し、スタッフ一同がたゆみない研鑽を続ける。
谷口氏:自分の介護や技術に不安を抱いたときも、この2階の実習室を使って練習できます。先輩のヘルパーなどの指導の下、いろいろな知識、技術をしっかり教えていくプログラムがあります。
また、さまざまな利用者のもとへ先輩と後輩が一緒に訪問し、介護技術やコミュニケーションの取り方などを伝授する同行指導も実施。入浴、おしめ交換、調理などを、実践しながら一つひとつ丁寧に教える。
先輩が後輩に目を配り、常に声をかけて温かく成長をサポートする。そうして育てられたスタッフは、自分が後輩を持ったとき、同じように手厚く接する。
その連鎖が絆を深め、明るい社風を醸成していく。

ICT活用で生産性アップ! 最適ルート検索で時間節約
取材時、これから着手するイノベーションとして伺ったのがICT導入による生産性向上だ。
RAJCが派遣する専門家の協力のもと、複数の訪問先を回る際の効率的なルート選択、自社ウェブサイトでのPR強化などを予定していた。
現在すでに実施し、いずれも成果を上げているという。
進行する少子高齢化社会で、一人でも多くの人にサービスを
鳥取介護サービスは、一人でも多くの人にサービスを提供したいと願っている。そのためには職場の魅力を高めて事業をしっかりと拡大・発展させることが重要だ。
職場の魅力を高める今回のイノベーションは、その大きな礎となる。
谷口氏:目標は正直者が馬鹿をみない会社、頑張っている人が報われる会社、誇りを持って働ける環境。従業員、利用者、会社、みんなが幸せになるWin-Winの結果を目指します。
少子高齢化社会が進む日本では、今後いっそう高齢者の増加が見込まれる。
住み慣れた家で暮らしながらサービスを受けられる訪問介護はますます需要が増え、鳥取介護サービスの存在価値も高まることだろう。

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