時代に即した経営改革で、選ばれる観光地・職場へ

山陰松島遊覧株式会社
代表取締役 川口 博樹 氏

2018.03.01

RAJC Report 編集部

山陰の松島ともうたわれる山陰海岸国立公園。その美しさを海から案内するのが、山陰松島遊覧株式会社が運航する「浦富海岸島めぐり遊覧船」だ。リアス式海岸の変化に富んだ景観を巡りながら、船長が奇岩のなりたちや見どころを紹介する。 遊覧船乗り場内では、「お食事処あじろや」を経営。鳥取で水揚げされた鮮魚を味わえると、県内外の客に評判だ。ここでしか買えないオリジナルグッズや特産品も充実し、海辺の人気観光スポットとなっている。

本記事では、鳥取を代表する観光アクティビティーを提供する山陰松島遊覧株式会社が、季節営業の課題と向き合いながら従業員の働き方を見直し、より高い収益をめざすためにどう取り組んだか、代表取締役社長の川口 直樹氏の話を交えながら紹介する。

企業データ

山陰松島遊覧株式会社

岩美町網代と、兵庫県新温泉町浜坂で観光遊覧船を運行。オリジナル商品などの開発にも取り組む。

住所:岩美郡岩美町大谷2182
電話:0857-73-1212

就業規則を見直し、従業員定着・人材獲得をめざす

鳥取の冬は厳しい。雪が降り、海が荒れる冬季は遊覧船を休航するため、収益は3月から11月の8カ月間に集中する。従業員も多少の無理をしながら、売り上げ貢献に尽くしてきた。
しかし働き方改革の気運の高まりを受けて労働環境を見直し、新たな経営路線の開拓へと舵を切った。

川口氏:まずは就業規則を変えて、無理なく働いていただけるような環境づくりをしたいと思いました。

同社は日ごろからRAJCの種々のセミナーを受講しており、その成果を社内改革で発揮している。
また、ICT活用においても専門家派遣を依頼し、改革に取り組んでいるが、それについては別の記事で改めて紹介する。

男性育児休暇・ダイヤ改正など、ES向上からCS向上を目指す

就業規則の改訂では、男性の育児休暇取得制度を盛り込んだ。まとまった育休のほか、子どもの急な発熱など育児のための突発的な休暇申請にも柔軟に対応する。
また、時刻表なしに一定のインターバルで運行していた船のダイヤを改訂し、40分、50分コースともに、1時間1便と定刻化した。船長は空き時間を有効活用して効率よく業務をこなせるようになり、勤務時間短縮につながっている。

川口氏:船長は管理職なので労働時間の長さへの意識が低かったのですが、やはり週40時間に近づける働き方に変えなくてはと思いました。
良いサービスを提供するには、従業員の満足がないとなかなかできませんので、お客さまの満足に繋げるための従業員満足、と考えています。

オリジナル商品、「コト」の提供で他の観光地と差別化をはかる

オンラインショップが普及し、あらゆるものをどこでも気軽に買える現在、観光客のニーズは「コト」へと広がっている。そこでしかできない体験、新しい経験が、これからの観光の重要な商品となる。

川口氏:週1回社内ミーティングを開き、新しい「コト」を提案してもらう場を設けています。当初はなかなか意見が出ませんでしたが、少しずつアイデアが出るようになりました。

これまで、醤油と日本酒を合わせた煮魚用の醤油を開発し、人気商品となっている。 また、地元洋菓子店と提携し、遊覧船上で雄大な景観を眺めながらスイーツを楽しむスイーツクルージングを開始した。

川口氏:自分の意見が商品化され、買ってもらってお客さまが喜ぶ姿は、従業員にとって大きなモチベーションになると思います。これからもどんどん意見を取り入れていきたいと思います。

また、従来休業期間だった冬季の飲食店・土産物店営業、土産物づくり、スノーリゾート地への人材提供など、生産性と従業員の収入を高める取り組みも進めている。

組織を固め、攻めの経営へ大きく生まれ変わる

遊覧船運航を主とする企業だけに、従業員はみな、岩美町や海が好きな人ばかり。就業後、釣りに繰り出す従業員に船を無償で貸し出すなど、川口氏は楽しくやりがいのある職場づくりを常に心がけている。

川口氏:職場としての魅力を磨き、多くの人にこの仕事に興味を持っていただきたいと願っています。

改革はまだ続く。この後川口氏は、ICT導入による効率化に取り組んだ。山陰松島遊覧株式会社はいま大きな転換期を迎え、新たな発展の出発点に立っている。

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